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5.実現に向けて

(1)整備構想の実現に向けての考え方
本調査研究では概ね2005年を目標年次として、「近畿圏のソーシャルロジスティクスの実現」に向け、近畿圏において目指すべき物流拠点整備のあり方について検討してきた。
ここで検討した物流拠点整備を実現していくためには、物流拠点整備計画の推進や、事業者への各種支援策の充実等の行政の積極的な取組に加え、物流に携わる荷主企業・物流事業者の企業市民としての高い自覚と秩序ある事業展開が求められる。さらに、行政、物流事業者、荷主といった物流に関わる人びとが相互に協力して推進していく体制が必要である。
そして、各自の高い自覚と相互の協力・理解により、交通渋滞の緩和、環境問題への対応、地域経済の活性化、防災面の対策強化といった、さまざまな社会問題に対応し得る物流体系の構築を目指していくことが必要である。

 

(2)行政、物流業界等の役割
[行政]
物流は地域経済の活栓化を担う社会的基盤であるとの認識を深め、各自治体では国等関係機関と連携しながら物流拠点整備計画を策定し推進していくことが必要である。さらに、関係機関が連携し、道路、港湾等の社会インフラ整備を計画的に推進していくことが求められる。その際には、周辺地域への影響や都市計画との整合性に配慮しつつ、物流拠点整備に必要となる大規模な用地を確保していくことや、コストパフォーマンスの高い施設づくりが求められる。
このような、計画の推進に加え、物流拠点へ荷主企業。物流事業者の立地の誘導を図ることが必要である。そのためには、荷主・物流業界を対象とした各種支援措置により側面的に支援して行くことが求められる。特に、物流事業者は中小事業者が多く、中小企業効率化法等の中小事業者の支援策のさらなる普及・充実を図っていくことが必要である。
物流をとりまく状況はめまぐるしく変化してきていることから、既存の法制度や施策の内容については規制緩和にも配慮しつつ、関係者の声を広く反映しながら適宜、見直しを図ることが求められる。
このような取組を円滑に進めていくためには、行政の関係機関をはじめ、荷主、物流事業者、消費者、地域住民といった物流に関わる全ての人びとが連携・協力し、互いに理解を深めあうための仕組みづくりを進めていくことが求められる。
それらに加え、荷主や物流事業者に対して、既存の情報ネットワーク等のPR活動等を進めていくことや、消費者・地域住民が物流に対する理解を深めるための見学会や各種メディアの活用等・PR活動の仕組みづくりが求められる。
さらに、国内外の社会インフラとして、標準的な電子データ取引環境の整備が、物流EDI推進機構等において積極的に進められており、さらなる整備促進が望まれる。

 

 

 

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